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2010 Apr 23

7 日英の絵画交流展

以前、このコーナーで、デイサービス・センター「南風」におけるイギリス人画家スコットさんのアート活動についてご紹介しました。私たちは3年前からスコットさんの協力を得て、デイサービスのお年寄りや地元の方々のために世代間交流をめざす絵画教室を開き、イギリスの子どもやお年寄りと作品を交換しあっています。

そうした経過のなかで、たまたま今年は日本とイギリスが通商条約を結んでから150年目にあたる記念の年なので、両国の絵画をいっしょに展示し、市民のみなさまに見てもらうことになりました。何事にも積極的なスコットさん曰く。「この絵画の交換は、普通の人々による草の根レベルのすばらしい国際交流だ。このような活動を長期にわたって続けている施設はどこにもない。せっかくなのでイギリス大使館とブリティッシュ・カウンシルに連絡し、150周年記念活動として申請しよう。」私たちはそんな仰々しいことはやめてほしいと頼みましたが、交渉の結果、思いがけず認められてしまいました。

それからあわてて会場探しがはじまりました。「南風」の近くにある南区役所に展示コーナーの借用を申し出ると、快く承諾していただいただけでなく、なんとお手伝いまでしていただきました。1階玄関横のホールにたくさんの大型パネルを並べ、150周年を記念して日英両国の絵画を150点展示しました。

オープン・セレモニーには副区長さんをはじめ区役所の方々、絵画製作者たち(南風のお年寄りのこと)、ボランティアの方々、そしてスコットさんと「南風」のスタッフが参加し、この日ばかりはお年寄りたちも晴れがましくアーティストの気分を味わっているようでした。加えて複数の新聞社の取材もあり、みんなの気分はさらに高揚していました。

一週間後、会場の片づけに出向いたとき、区役所の担当の方から「役所を訪れた大勢の人が見ていきましたよ。ぜひ来年もやりましょう」と言葉をかけていただきました。そのお褒めの言葉を「南風」のお年寄りに伝えると、「じゃあ、もっと絵がうまくなるように練習しなくちゃ」と言うのでした。そこで私は、「そんなに無理しなくてもいいですよ。みなさんの素朴さが評価されたのですから」と答えました。褒めたつもりでしたが、「じゃあ、下手でもいいっていうこと?」と反撃され、返す言葉がありませんでした。

じつは、「南風」の絵画教室は絵が上手になることを目的にしているのではありません。小学校卒業以来、何十年も絵から遠ざかっていたお年寄りたちが、絵を描くことをとおして仲間をつくり、そして(スコットさんの言い方によると)ハッピーな気分になることを目指しているのです。私たちの教室では、認知症のために意思表示も難しいような人が、カラフルな色で、思いがけないほど大胆な構図の絵を描いて、みんなをびっくりさせています。その人はみんなから拍手喝采を浴び、その時、その場でヒーローとなっていきます。これって、その人にとって貴重な体験だと思いません?

数日前、いまイギリスに滞在中のスコットさんからEメールが届きました。先日、彼が暮らしている町で、各地から2万2千人もの人が集まって「障害者の日」のイベントが開かれたそうです。いっしょに送られてきた写真を見ると、会場にはスコットさんの日英両国での絵画交流活動を紹介するコーナーが設けられていました。イギリスの人びとは「南風」のお年寄りが絵画に込めた思いを感じとってくれたでしょうか?

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